4.1.1 ガイド:チームベースの組織を構築する
プロダクトはチームによって作られるが、従来の(西洋の)組織は、個人の責任にもとづいて構成されている
各人がパフォーマンスを出すことに対する責任を、マネージャーに押し付けられる(e.g. 個人に対する仕事の割り当て、個人へのパフォーマンス評価、個人への報酬 etc)
この仕組みは個人の後押しすることはできるが、目標を達成するために共同責任を負う優れたチームを作ることに繋がらない
チームベースの LeSS の組織が持つ構造
専任チーム
各チームメンバーは、自分の時間の 100% をたった 1 つのチームに捧げる
チームの目標に対して共同責任を負ってもらうため
チームの働き方、すなわちプロセスに対してオーナーシップを持ってもらうため
クロスファンクショナルチーム
各チームは出荷可能なプロダクトを生産するために必要な全てのスキルを、持ち合わせているか調達できていることが求められる
プロダクト開発のほとんどの労力と問題は機能間で生じるため(従来の機能別専門チームと対比して)
同一ロケーションのチーム
各チームは同じロケーションの同じ部屋で仕事をする(全てのチームが同一拠点にいるのが望ましいが、複数拠点になるのが一般的)
成果に共同責任をもち、お互いから学ぶ最高のチームを追求するため
人間は密接な共同作業と面と向かったコミュニケーションによって信頼を確立する
継続的改善の本質である迅速なフィードバックとチーム学習を促進するため
長期間存続するチーム
チームはずっと一緒にいる(チームが本当の意味でチームとして働いてもらうには、安定が必要)
チームメンバーがお互いを深く知り合い、一緒に仕事の仕方を学び、改善していくほどチームはより良くなる
チームベースの組織構造によって起こる変化
「1 つのスキルを持ったリソース」ではなく、人は学習する
組織は、人を「リソース」とみなし、お金、機械、メモ用紙などと同じように扱いがち( = リソースには 1 つのスキルしか無く、別の用途で使いたくなったら別のものを利用する)
人は「新しいスキルを習得する」という優れたメタスキルを持っており、柔軟性を目指す組織にはとても重要である
長期間存続するチームでは、自動的にこの学習スキルを使うことになる
「リソース配分」の単位は人ではなくチーム
リソース配分は、ほとんどの場合個人を基準にして誰がどのプロダクトに関わるかを決めることが多いが、チームベースでの組織では「誰が必要?」ではなく、「どのチームが必要?」という問に変わる
仕事のためにチームをつくるのではなく、クリエイティブなチームに仕事を割り当てる
長期間存続するチームをもつ組織は、組織変更をするのではなく、仕事を分割して既存のチームが担当する。それにより、チームは学び、適応する
動きが多いマトリックス組織よりも、安定した組織
真に柔軟な組織では、仕事を顧客にとって意味のある単位で分割し、適切なチームに与え、チームは学習により足りないスキルを身につける